浄土真宗本願寺派では「南無阿弥陀仏」の「南無」を「ナム」ではなく「ナモ」と読みます。

しかし一般的には「南無」は「ナム」と発音する人が多いように思われます。

なぜ浄土真宗本願寺派では「南無」を「ナモ」と発音するのでしょうか。

結論からいうと「南無」を「ナモ」と読むのは、浄土真宗の宗祖である親鸞聖人の読み方に由来しています。

聖人は「南無」をすべて「南无」と書かれています。聖人の書かれた著作や名号に「南無」の表記はありません。

聖人が「南无」とお書きくださったもののうち、振り仮名の付されているものは17例あります。このうち「ナモ」が15例、「ナム」が2例です。
つまり聖人は基本的に「南无」を「ナモ」と読んでいたことがわかります。

聖人の「南无」の読み方は、以降の歴代宗主にも受け継がれています。歴代宗主の主要な書写聖教や著作をうかがうと「南无」はすべて「ナモ」と読まれています。

なお、11世紀末から12世紀頃に日本で成立した漢和辞典『類聚名義抄』にも

「无」の項に「南无」の読み方が「ナモ」と示されています。