孤独感

『仏説無量寿経』には、「独生独死独去独来(どくしょうどくしどっこどくらい)」という有名な言葉があります。
人間は誰しも潜在的・絶対的な孤独を抱えて生きていることを示した教説です。
非常に厳しく寂しさを感じる言葉であると同時に、優しさや温かさを持った言葉でもあると思います。


ロックバンドTHE BACK HORNのボーカルである山田将司さんがインタビューで次のように答えていました。

「孤独」という言葉に対して、俺、すごく優しい響きを感じるんです。自分が音楽に救われていた10代の頃とか、孤独を肯定してくれることに優しさを感じて、それで優しい音楽を好きになったんです。バラードみたいな優しさも好きだけど、激しさの中に、俺の痛みを理解してくれたような優しさがある、そういう音楽も好きだった。だから「孤独」は自分を肯定してくれる最高に優しい言葉で、自分がライブをやる側の人間になっても、それを信じているんです。
「孤独であれ」という言葉が、すごい優しいなあと思ったんだよね。俺も「孤独を繋いで」っていう言葉は、孤独でよくて、孤独同士でつながりあっていくっていうイメージで使ってる。俺が本当に孤独を感じてた若い頃って、「孤独じゃないんだ、みんなつながっているんだ」みたいなことを言われるよりも、「お前は孤独だ」って言われるほうが優しく感じたから。
「孤独じゃないんだ」って言われても「お前、俺の何を知ってんだ?」って思っちゃう。実際、孤独の中にも自由がいっぱいあるわけじゃん? 「孤独であれ」って言葉には、孤独の中にある世界の広さを感じたんだよね。


たとえ家族や親友であっても自分の悲しさや苦しみ、悩みをすべて分かってくれる人はいません。
世の中に孤独な人とそうでない人がいるのではなく、誰しもが人には語ることができず、理解されない苦悩を抱えながら人生を独りで歩いています。
お釈迦さまは、そんな私たちの世界を「堪え忍んでいかねばならない苦しみの世界」とおっしゃいました。

「独生独死独去独来」と人間の抱える真実を誤魔化すことのない言葉は、「人間はそういうものなんですよ」とありのままを肯定してくれる優しさがあるようにも思います。

合掌

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2018年02月10日