相手を鬼と見る人は、自分もまた鬼である

つらい体験をすると、自分を棚上げして、一方的に相手を恨むほうに走ってしまうことがあります。どこまでも相手を悪者にして、自分を一向に顧みようとしない姿を見ると、現代人は成長しないまま大人になってしまったのではないかとさえ思うほど、社会全体が自分にとって不愉快な人を許さなくなってきている気がします。

何かつらい目に遭うとやり返して解決しようとしたり、リベンジを煽り立てるような風潮は決して好ましくありません。これが野放しになると、いよいよ世の中は生きにくく、荒々しいものになっていくのではないかと心配です。また、復讐を考える人間も、仕返しに人生を拘束されて一生が終わってしまうという非常に不毛な生涯を送る結果になります。

他を攻撃するのは、自分に自信がない、自分のいのちに自信がないからで、攻撃によって生きている実感を味わっているのではないかと思います。さらにいえば、つらさを受け入れられない自分の弱さを隠すために、あるいは、弱さを自分で意識しないようにするために、他人を攻撃しているのではないでしょうか。

もちろん、つらいことは本人の責任だけではありません。周りの問題もあるでしょうが、それを単に人のせいにして恨みを抱き、相手に復讐しようとするのはどうかと思います。とても難しいことではありますが、つらくて苦しい経験を、自分が人間的に成長するためのよいきっかけとして受け入れて欲しい、と願わずにはいられません。

〈参考『人生は価値ある一瞬』より〉

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2018年08月01日