欲深き 人の心と 降る雪は 積もるにつけて 道を忘るる

今の時代は驚くほど物が豊かになりました。食べ物ひとつとってもそうですし、着るものにしても種類・デザインが豊富で、選ぶのに迷うほどです。
そればかりか生きるのに必要ないと思われるものを、あたかも「なくては生きていけない」かのように欲望を刺激され、商品を買わされていないでしょうか。
まるで企業から消費者として操られているかのようです。

人間が欲望を膨らませてどんどん消費をしていけば、どうなるでしょうか。いずれ食料も飲料水も足りなくなります。
すでにウナギやマグロの絶滅が危惧されています。

スーパーでは、魚の切り身や牛肉がパックにして売られています。
便利で効率的かもしれませんが、消費者は「魚」と「切り身」、「牛」と「牛肉」が実感あるものとして結びつかず、手にしたパック食品がどういう経路をたどってきたかを実感できません。
最近は海外で生産されて日本へ届く商品も多く、ますます流通が見えなくなっています。

「食」は、いのちの基本です。せめて自分の食べているものがどこから来ているかを身近に自覚して食したいものです。

「お米という字は八十八と書くように、八十八種類の労働によって私たちの手元に届くのだから、大事にいただきなさい」という言葉があります。これはお米だけにかぎりません。
「物を大切にしなさい」と教えられ、食べ物を残せば「もったいない。粗末にするな」と言われるのは何故でしょうか。
現在の日本では、まだ食べられる食品が山のように捨てられています。

この調子で世界中の人が野放しに消費をしたら、遠からず行き詰まるのは目に見えています。食料については、深刻な対立も出てくるでしょう。
難しいですが、欲望の量をコントロールするとともに、欲望の内容も「物質的な豊かさ」だけではなく、絵や音楽、読書など「質的な豊かさ」で満たしていく社会に変えていく必要があるように思います。

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2021年09月01日