真の自信は 無条件の愛情から 生まれる

ひと昔前の日本社会では、地域の人びとが助けあって暮らすという互助精神が庶民の知恵として生きていました。
しかしながら、工業化や都市化にともなってそうした社会は崩れてしまい、現在の日本では自分と同じ組織の中にいる人びと以外とは心を通わせない傾向があるように思えてなりません。
自分たち身内だけで通用する考えや言動に満足し、自分が所属する組織外の人びとが物質的に、あるいは精神的に困っていても見過ごしてしまう点も気になるところです。

一見、華やかに見える社会の陰でますます格差が広がっており、貧困などに苦しんでいる人がたくさんいます。そのような人たちにあたたかい思いを馳せられるかどうかは、自分自身に自信があるかないかによって大きく違ってきます。
自分自身に自信のない人は、ともすれば相手からの攻撃を恐れ、防御しようとして自分の外側に垣根をつくります。他人の欠点を突くのに熱心でも、他人を褒めようとはしません。
反面、自分が批判されると素直に受け入れられず、むしろ強く反発しがちです。
そのためにいろいろな機会に恵まれても活かせず、他人に対して思いやりを持って接することができないのです。

一方、自分自身に自信のある人は、自分が失敗したら素直に謝ることができます。
他人からの攻撃に対しては「それも私の一部です」と柔らかく受け止められ、他人の失敗にも寛容です。
さまざまな機会と真摯に向き合い、それを活かして、困っている人にもあたたかく接していけるでしょう。

こうした自信はどこから生まれてくるのでしょうか。
「親など保護者が子どもを愛情深く大事に育てると子どもは安心して成長でき、それによって自信というものが育つ」といわれています。
子どもが失敗したり、危険な目に遭ったときに親に抱きしめられたという体験が、そして無条件にいのちを受け入れられたという確かさが、生きていくうえでの大きな支えになるのです。

大人になってからも同じです。知りあった相手が愛情を持って接してくれる人か、はじめからつらくあたる人かで、生きる力が湧いてくるかどうかが違ってきます。

自分のいのちが受け入れられているのですから、他人のいのちもできるだけ受け入れられるように、愛情を持って人と接する人間になりたいものです。

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2022年05月01日